きもの Happy Story

  • Story3

    母が選んでくれた素敵なきもの

    • いち瑠上野プレミアムサロン
    • 加藤 梢様

    私がお着物の世界に魅了されるきっかけとなったのは、母が10年以上も前に私の為に誂えてくれた着物が箪笥の中で眠っているのが気になっていた事からでした。
    その当時、私に内緒で誂えた着物が自宅に届きそれを嬉しそうに私に見せてくれた母に対し、お着物に興味のなかった私は『いらなーい、それにこんな色柄好きじゃない』とつい言ってしまいました。その時のがっかりした母の顔が忘れられず若い頃の私の苦い思い出となっていました。

    結婚退職し時間ができた事をきっかけに、お着物教室へ一反しか持っていないそのお着物を持って訪れたさい先生に『とっても素敵なお着物ねー!あなたにぴったり!』と誉められた時、母の事を思い涙が出そうになりました。少しづつ自分で枚数を増やした今でも人から特に誉めて頂けるのはこの着物を着ている時です。私に合うものを一番よく知っていて私の事を誰よりも想っていてくれる母が選んだ一反だからなのだと思っています。

    あの頃から10年、少し大人になった私はあの時傷つけてしまった事、この着物が大好きで大切に着ていることを母に伝える事ができました。
    とても嬉しいと言った母の顔を胸に今、私はお着物の楽しさと奥深さにふれる日々を送っています。

  • Story2

    出会いを繋いでくれる魔法のツール

    • いち瑠スタッフ
    • C.Y

    私は着物を着るのが好きです。時間をかけて自分が整っていく感じが好きで、そのように時間をかけた着姿は、自分でも惚れ惚れしますし、すがすがしい気持ちになります。

    だからでしょうか、着物を着て外を歩いていると、知らない人に声をかけられる事がよくあります。「あらきれいねえ」と洋服のときには絶対に起こらない会話が始まります。
    最近は、近所でいつも日向ぼっこをしているおばあちゃんとよく話をします。「今日も似合ってるわねえ」「あなたが着物を着ている姿を見て私も嬉しくなっちゃった」「私も昔はよく着ていたんだけどねえ、もう着れないわねえ」。おばあちゃんとのそんな何気ない会話で、私も毎朝元気をもらいます。

    着物は、着ているだけで、自分も他人も幸せにできる魔法のツールだと思います。これからも、そんな着物を楽しみたいです。

  • Story1

    きものが教えてくれた大切なこと

    • いち瑠スタッフ
    • T.Y

    最近では、お嫁入りにきものを持たせるという家もかなり少なくなったと思いますが、私が結婚適齢期の頃は、田舎だった事もありますが、まだまだその習慣が強くある時代でした。
    三歳年上の姉の結婚が決まった時に母が色無地と訪問着を出してきて「これは、持って行くものだから」と姉にどういう時に着るかなど説明していました。そして次に私の方を見て「ちゃんと用意してあるからね」と。

    今も…ですが、当時20代前半だった私は、きものの価値も何も分かっていなかったので「へぇーそうなんだー」という程度の感覚でした。残念ながら、それから何十年もきものは眠ったままで袖を通すことはありませんでした。仕事で母が“嫁入り道具に・・・”と揃えてくれていたきものを着るようになった今、職場の人から「素敵なきものだね」と言ってもらったり「これは良いきものだよ」と教えてもらったりして、初めて、決して余裕があった訳ではないのに、私がお嫁に行く時に恥をかかない様にとコツコツ必要な物を揃えてくれていた母に感謝し、頭が下がる思いでした。

    きものを着る機会がなかったら、そのきものの価値を教えてくれる人に出会わなかったら、こんな大切な事を分からずに過ぎてしまっていたと思います。きものを通して、たくさんの大切な事に気がついた事にとても感謝しています。