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    きものが教えてくれた大切なこと

    • いち瑠スタッフ
    • T.Y

    最近では、お嫁入りにきものを持たせるという家もかなり少なくなったと思いますが、私が結婚適齢期の頃は、田舎だった事もありますが、まだまだその習慣が強くある時代でした。
    三歳年上の姉の結婚が決まった時に母が色無地と訪問着を出してきて「これは、持って行くものだから」と姉にどういう時に着るかなど説明していました。そして次に私の方を見て「ちゃんと用意してあるからね」と。

    今も…ですが、当時20代前半だった私は、きものの価値も何も分かっていなかったので「へぇーそうなんだー」という程度の感覚でした。残念ながら、それから何十年もきものは眠ったままで袖を通すことはありませんでした。仕事で母が“嫁入り道具に・・・”と揃えてくれていたきものを着るようになった今、職場の人から「素敵なきものだね」と言ってもらったり「これは良いきものだよ」と教えてもらったりして、初めて、決して余裕があった訳ではないのに、私がお嫁に行く時に恥をかかない様にとコツコツ必要な物を揃えてくれていた母に感謝し、頭が下がる思いでした。

    きものを着る機会がなかったら、そのきものの価値を教えてくれる人に出会わなかったら、こんな大切な事を分からずに過ぎてしまっていたと思います。きものを通して、たくさんの大切な事に気がついた事にとても感謝しています。