きものQ&A

きものを楽しく美しく装うためのちょっとした工夫とヒントをご紹介します。

お出かけ編

お出かけの時に携帯すると便利なものはありますか?

おでかけ7つ道具を常備していると安心です。

(1)クリップ(トイレの裾上げや着付け直しに)
(2)安全ピン(袖からはみ出た長襦袢をつまむ)
(3)アメリカピン(髪型を整える)
(4)仮紐(帯の補整や襷に)
(5)大判のハンカチ・風呂敷(ひざ掛けや汚れよけ、手荷物を包むため)
(6)小さな鏡(衿元などのチェックに)
(7)雨コート(コンパクトに収納できるもの)

(1)のクリップは、アクセサリーのように使える「ナプキンクリップ」でも代用できます。伸縮性のある紐の先にクリップがついているもので、食事の時や襷の役割など、さまざまな用途に活用できます。

風の強い日に、裾が翻るのを防ぐコツはありますか?

コーリンベルトを活用しましょう。
図のようにコーリンベルトの片方のクリップを着物の下前に、もう片方は長襦袢の上前に留めます。
留める位置はあまり下すぎない膝下あたりで、ベルトの長さは歩きやすいように調整します。
これで、強い風の日でも裾が翻ることなくお出かけできます。

お出かけの時に携帯すると便利なものはありますか?

夏はせっかくの着物や帯に汗ジミがつくのが心配です

お出かけの時に携帯すると便利なものはありますか?

タオルを味方に、涼やかに着こなしましょう。
透ける絽や紗の涼やかな夏の素材は、着物姿をまた美しく見せてくれます。
汗が心配で着物での外出を敬遠せずに、積極的に着こなしてみたいものです。
そのためには、ちょっとしたひと手間かけて汗対策をぬかりなくしましょう。
汗をブロックするにはタオルが大きな味方です。
着物ブラジャーや肌襦袢の内側にタオルを入れて汗を吸収しましょう。
特に背中は全体にタオルがあたるようにしましょう。
ワキは市販の汗取りパッドなどを利用するのもいいと思います。
最近はワキに汗取りパッドのついた下着も市販されていますのでお使いになっても便利です。
また、背骨のくぼみにガーゼのような薄いハンカチなど、汗を吸い取りやすい布を挟んでおくのもおすすめです。

草履の収納方法はどうしたらいいでしょう
足も汗をかいています。草履の湿気をとりましょう。
着物のお手入れに比べて忘れがちなのが草履のお手入れです。
草履は帰宅したら、底の湿気をとるために新聞紙や紙の上にひとまず置いて。
その後、靴箱に入れておく時に炭を一緒に入れておくと、湿気を取ってくれるので乾燥剤代わりになりとても便利です。
また炭はカビ予防にもなる靴箱の力強い味方です。
炭はそのまま靴箱に入れると、草履を汚してしまうのでガーゼに包んで入れましょう。
夏の帯まわりは暑くて苦手です。なにかアイデアがありますか?

夏の帯まわりは暑くて苦手です。なにかアイデアがありますか?

帯枕や帯板を風通しの良いものに代えてひと工夫。
夏帯は、涼しさを見せる絽や紗、羅などの透ける素材のものや、実際に空気を通す麻などの涼しい素材のものがあります。
でも夏の帯を粋に着こなすには、帯枕や帯板などの小物使いでの暑さ対策も必要です。
帯枕や帯板などはへちまでできているものが市販されています。
へちまは通気性、吸湿性が抜群で、帯下にこもる熱や湿気をすばやく逃して、涼しい着こなしの大きな味方です。
へちまの帯枕は、100円ショップで売っているへちまをガーゼで包んでご自分で簡単に手作りすることもできます。

夏の下着について教えてください

夏の下着について教えてください

天然素材の物がおすすめです
夏の下着は肌に涼しい、麻・綿・絹といった天然素材のものがおすすめです。
素材だけでなく、織り方も暑さ対策には重要です。
楊柳など生地の表面に凹凸があるものは、肌に触れる面が少ないので、サラッと風通しが良くおすすめです。
また裾除けの代わりに、ステテコを利用するのもアイデアだと思います。
汗ばむ足に長襦袢がまとわりつかず、涼しく快適です。長襦袢も洗える素材がおすすめです。

はおりもののTPO編

着物の上にはおる羽織やコートなどを着用する時期を教えてください
着用時期の目安は、「はおりもの着用カレンダー」を参考に。

着物の上にはおる羽織やコートなどを着用する時期を教えてください

ただ、最近は気候の変化や室内の空調などの影響もあり、一概にカレンダー通りではなく、多少前後して着用してもよいのでは。
寒い真冬には、袷の羽織やコートだけでなくウール素材のプレタのコートなどを上手に取り入れるのもお薦めです。
春先は、4月が単衣と袷の羽織やコートの切り替えですが、体感温度も加味して、コーディネートしてください。
昔はどんな時期でも「婦人は羽織を着用すべし」といわれましたが、真夏に汗だくで着用する必要はないのでは。
ただ、薄物素材の紋紗の羽織やコートは、着物や帯が汚れるのを防ぐためにも塵よけとしてはおるのもおすすめです。
気候によって、素材を選び、ショールや小物を上手に使って、季節感を取り入れたコーディネートでお出かけを楽しみましょう。

着物の上にはおる羽織やコートなどを着用する時期を教えてください

紬あらかると

紬の着物の由来や特徴は?
紬は繭や真綿を紡いだ糸を使って織り上げたきもの。糸を染めてから織る先染めの織物です。(織ってから染める後染めのものもあります。)
元々は養蚕農家が商品にならない繭を使って仕事着として織られていましたが、各地域の歴史や風土によって受け継がれた伝統技術が高く評価され、洒落着として親しまれています。
紬のドレスコードなどを教えてください
紬は高価であっても、あくまでカジュアルな洒落着です。結婚式や入・卒業式などの改まった正装には向きません。
ショッピングや観劇、美術館や食事会など、街着として個性を存分に表現できるきものです。帯との組み合わせでも、着こなしのバリエーションが広がります。
“織りのきものには染め帯”というようなルールに縛られることなく、カジュアルに使える織りの袋帯や名古屋帯、半巾帯など、好みに合わせて気軽に自由に楽しめます。
紬の印象が変わる“糸のマジック”とは?

紬の印象が変わる“糸のマジック”とは?

紬は経糸と緯糸にどんな糸を組み合わせて織るかで、光沢や節と呼ぶ凹凸の出方が変わり、
印象や風合いに違いが出ます。その鍵を握る糸は、大別して「生糸」「真綿糸」「玉糸」の3種類があります。

・生糸…繭から機械や人の手で糸を取り出した長い糸。さらっとした光沢感が特徴。
・真綿糸…繭を平らにして綿状にしたものから引き伸ばした糸。温かみある風合い。
・玉糸…2匹の蚕がひとつの繭をつくった玉繭から取り出した糸。節があり、伸張性に優れている。

代表的な紬の種類や特徴は?

代表的な紬の種類や特徴は?

紬の種類で【三大紬】と呼ばれるのは、
「結城紬」・「大島紬」・「牛首紬」。
「結城紬」はざっくりとした温かな風合いが特徴の紬。
これに対して、「大島紬」はさらっとした風合いで光沢があり、
軽い雨なら気にすることなく着られるという特長があります。
そして牛首紬は、「釘抜紬」といわれるほど丈夫な、強くて美しい紬です。
また、紬の主要な産地として挙げられているのが、新潟や山形など東北の紬の数々。
素朴でやさしい風合いの「置賜紬」や越後上布の技術を絹織物に取り入れた「塩沢紬」、織りに適度な湿気をもたらす環境で織られる夏向けの麻織物
「小千谷縮」なども含めて多くの種類が作られています。
このほか、信州各地のオリジナル性が魅力の「信州紬」、岐阜の工芸家によって戦後に再興された「郡上紬」などこだわりの紬があります。
沖縄の「久米島紬」は久米島の植物だけを用いて染色されているのが特徴。
「黄八丈」は八丈島に伝わる草木染の織物で縞や格子が特徴の紬です。